飲食店の開業を失敗する理由【負のスパイラルと7つの原因】

飲食の世界は決して甘いものではありません。

開業後の飲食店の生存率は

1年で30%が閉店
2年で50%が閉店
10年で残るのは5%ほど

といわれています。

2年で半分が閉店。

ヤバくないですか?

それでもなお、この厳しい飲食業界で勝ち残っていこうとするのであれば、ぜひこの記事を読んで参考にしてもらえればと思います。

目次

飲食店開業が失敗に向かう負のスパイラル

私は、10年以上会計事務所で働いた経験があり、さまざまな会社が事業を失敗するところをみてきました。

その中にはもちろん飲食業もありました。

そして私は今、法人(飲食業)の総務会計という立場で、10年間、飲食業の世界をその中から見続けてきました。

そんな経験からわかったことがあります。

飲食業に限らず事業が上手くいかなくなる人は、だいたい次のような負のスパイラルに陥って廃業していくのです。

STEP
客がこないから売上がたたない

飲食業はお客様に料理を食べてもらってなんぼの世界です。

どんなに美味しい料理を作っても食べてもらわなければ売上は上がりませんし、お店が口コミで広まることもありません。

来客が多かったのはオープンの最初だけで、だんだんと客が来なくなっていったというのははよく聞く話です。

STEP
売上がたたないから利益がでない

お客様がこないと当然ながら売上が上がりません。

売上が上がらないと利益がでないので、経営者の心はどんどん焦ってきます。

「店を出すのに1,000万円もかかったのに。。。」
「このままじゃいけないなんとかしないと。。。」

STEP
利益を出そうとコンセプトがブレる

なんとかしないといけないと思って、経営者がやってしまう最悪の悪手がこれです。

ラーメン屋なのにカレーを作ってみたり、ファミリーターゲットなのにアルコールの種類を充実させたりするあれです。

想定していたより、お客様の来店が少ないと経営者は時に自分を見失ってしまうものです。

STEP
コンセプトが定まってないので客がこない

コンセプトのブレたお店に新規顧客は集まりません。それどころか当初のコンセプトで設定したターゲット客も離れていくことになります。

経営者はもう何をどうしていいのかわからなくなります。

STEP
利益がでないので資金が枯渇してしまう

開業時に融資されていた運転資金もやがて底をついてきます。

なんとかしなきゃいけないと思って、またコンセプトを無視して③の状態に戻ったりします。

STEP
資金がないので金策のことだけに思考が集中

資金がなくなりそうな経営者は、店を畳むことも視野に入れながら、資金繰りのことで頭がいっぱいになります。
どうすればお金が借りられるか。事業が続けられるか。

金策のことで頭がいっぱいになった経営者は、本来一番考えなければいけない集客やサービスのことを考える余裕がなくなります。

私が20代の頃、会計事務所時代に担当した関与先で、客が来たら店の照明をつける家具屋がありました。

理由を尋ねると電気代がもったいないからとのことでした。

もう本末転倒ですね。

金策で頭がいっぱいになった店は、サービスが加速しておろそかになっていきます。

STEP
そして客がこない

ここまでくれば、後は悪循環を繰り返して資金が枯渇して廃業するのを待つのみです。

運よく、金融機関にお金を借りることができて生き延びたとしても、そのうちその資金も枯渇するでしょう。

いかがでしょうか。飲食業に限らず事業が上手くいかなくなる人は、だいたいこんな感じで廃業していきます。

では、なぜこのような状況になってしまうのでしょうか?

私の考える、「事業に失敗する人に共通する原因」は次の7つです。

  • コンセプトが不明確
  • 初期投資が大きすぎる
  • 収支予測と資金計画が甘すぎる
  • 立地が悪すぎる
  • 接客のサービスレベルが低い
  • 集客方法を勉強していない
  • 自信過剰で人の意見を聞かない

順番に解説していきます。

失敗原因1:コンセプトが不明確

飲食業の経営を失敗する人は、お店のコンセプトがしっかりと定まってない人が多いです。

コンセプトとは、あなたがこれから飲食店を開業して経営する上での基本的な考え方のことです。

自分がこんな飲食店にしたいという想いの根幹であり柱であり「ブレない軸」のことです。

ただし、ここでは店主の無駄なこだわりや自己主張のことを指すわけではありません。
あくまでお客様の心に刺さるコンセプトであることが大前提です。

ここがしっかりしていないと、一貫性のある店舗経営ができなくて常にブレブレのお店になってしまい、他店との差別化もはかれません。

コンセプトが明確になれば、自然に狙ってく客層(ターゲット)も見えてきます。

そうすればどこにどんなお店を出したらいいのかわかってきます。

飲食業を始めるならまず最初に考えるべきはコンセプト設計です。

コンセプト設計の作り方はこちらの記事を参考にしてください。

失敗原因2:初期投資が大きすぎる

初期投資でありがちなのが、内装や設備を整えていくうちに費用が膨らんでいくパターンです。

飲食店の開業費用の平均目安は1,000万円前後といわれています。

居抜きなのかそうでないのかでも違いますが、開業費用の大部分を占めるのは内装と設備費用です。

使える物はなるべく使って、費用をかけないことを徹底しないと、開業費用は当初の見積よりどんどん増えていくものです。

ぺぺきよ

私は今まで5店舗の飲食店開業を経験しましたが、当初の見積りどおりにすべてが終わった店は1件もないです

仮に1,000万円の借入を5年で返済するとなると、月々17万円ほどになります。

優良な飲食店の営業利益が10%ほどといわれているので、この借入金の返済だけで月に170万円の売上が必要になってきます。

これが借入金が500万円なら月々の必要な売上は85万円なのでハードルがぐっと下がりますね。

必要のない見栄や個人のこだわりだけで、内装や設備にお金をかけることはやめましょう。

初期投資はできるだけ抑えることが鉄則です。

失敗原因3:収支予測と資金計画が甘すぎる

俗にいう「経営がどんぶり勘定」の経営者です。

このような経営者は「お金が残ったから儲かった。お金が残ってないから赤字だ。」という結果でしか利益を判別できてない人が多いです。

「一日にどれだけの売上が必要なのか」、「どれだけのお客様の来店が必要なのか」といったことが全くシュミレーションできておらず、残ったお金だけしか物事をみてないので、いつも経営判断が遅れて資金繰りで慌てている経営者が本当に多いです。

飲食店を経営するなら、事業計画書(収支シュミレーション)の作成は絶対にしなければなりません。

それもかなり細かい所まで落とし込んで作る必要があります。

これがなければ自分の店が今儲かっているのかそうでないのかの判断すらすることができませんし、資金繰りの考え方にも影響してきます。

もう一度言います。

飲食店の開業や経営をするには、事業計画書(収支シュミレーション)の作成は必須です。

事業計画書の作り方や損益分岐点の考え方はこちらを参考にしてください。

失敗原因4:立地(物件)が悪すぎる

もっとくわしく言うと立地がお店のコンセプトに合っていない場合です。

「立地7割、中身3割」といわれる言葉があります。

つまり飲食業の成功は、立地で7割がすでに決まってるというくらい立地は重要です。

ビジネス街で主婦をターゲットにしたカフェを開いても客が来ないのは明白です。

あなたの住んでる街に、何度も店が出来るけどなぜかすぐつぶれてしまうような所はないでしょうか?

そういう場所を引き当てないためにも、物件選びは最初に作ったコンセプトに沿って慎重に進めていくことが重要です。

飲食店の物件の探し方にはこちらを参考にしてください。

失敗原因5:接客のサービスレベルが低い

「料理はまあまあ美味しかったんだけど、接客が最悪だったからもう行かない」という話を聞いたことはないですか?

店内に入って一度でも質の低いサービスを受けたお客様は、そこから基本的に減点法式でそのお店を評価するようになります。

例えば、テーブル席までのご案内で、従業員の態度がめちゃくちゃ不愛想だったとしましょう。

なんだか感じが悪いなあと思ったお客様は、不思議なことに他に感じが悪い部分がないかを自分から探そうとしだします。

おしぼりを持ってくるのが遅いだとか、メニューブックが汚れてるだとか、料理が遅いだとか、探す部分は様々です。

接客はあなたのお店のリピート率を大きく左右します。

もう一度いいいます。大きく左右します。

あなたが従業員に望む接客がなんなのかをきちんと落とし込んでいいましょう。

料理だけが美味しくてもお客様はリピートしてくれません。

失敗原因6:集客方法を行っていない(勉強していない)

たまに、料理に絶対的な自信を持って、一切広告を打たない経営者がいます。

もっと言えば、宣伝をせずに口コミで広がるのがかっこいいみたいな考えを持ってる経営者がいます。

お祭りでたこ焼きを売って好評だったからといって、たこ焼き屋を開業してお客様がくるとは限りません。

お祭りでみんながたこ焼きを買うのは、お祭りの運営者が広告を出して、みんながお祭りの存在を知ってやってきてくれるからです。

どんなに美味しい料理を作ろうとも、お店の存在を知られなければ食べてもらうこともできないですし、クチコミにもなりません。

幸い今の時代は、無料で使えるSNSなどもあるので、どんな方法で自分の店を宣伝していくのかは必ず決めておきましょう。

失敗原因7:自信過剰で人の意見を聞きいれない

これもワンマン経営者に多い、事業を失敗する人あるあるです。

根拠のまったくない謎の自信に満ち溢れていて、他人のアドバイスを聞こうとしない人です。

こういうタイプは事業が上昇している時はいいのですが、事業が落ち込んでいる時に柔軟な対策がすぐにとれず、傷口をどんどん深くして自滅していくパターンが多いです。

自分の意思を強く持つことも必要ですが、特に身近な人や従業員などのアドバイスを受け入れる柔軟性を持ちましょう。

根拠のない謎の自信。本当に謎です。

飲食店の開業失敗のまとめ

これまで事業が失敗する時の負のスパイラルと、失敗する人に共通する原因を解説しました。

負のスパイラル

  1. 客がこないから売上がたたない
  2. 売上がたたないから利益がでない
  3. 利益を出そうと当初のコンセプトを無視して経営がブレる
  4. コンセプトが定まってないので客がこない
  5. 利益がでないので資金が枯渇してしまう。
  6. 資金がないので金策のことだけに思考が集中

失敗する人に共通する7つの原因

  1. コンセプトが不明確
  2. 初期投資が大きすぎる
  3. 収支予測と資金計画が甘すぎる
  4. 立地(物件)が悪すぎる
  5. 接客のサービスレベルが低い
  6. 集客方法を行っていない(勉強していない)
  7. 自信過剰で人の意見を聞きいれない

これらのことは、ほとんどが開業前の準備段階で勝負が決まっています。

ある大手チェーン飲食店では、新店舗を出店しても店長には売上目標を課さないそうです。

売上は「商品力」と「立地」、「面積」で決まるので、売上が少なくてもそれは事前調査の問題であり、店長の努力でどうこうなるものじゃないからだそうです。

ぺぺきよ

開業前のしっかりとした計画と準備が飲食店の成功に繋がります。 絶対に手を抜かないようにしましょうね。

この記事を書いたひと

プロフィール

ぺぺきよ
  • アラフィフおじさんブロガー
  • 同い年のネイリストと46歳で結婚
  • ハチワレ猫の「ぺろ」が大好き
  • 会計関連の仕事を26年
  • 趣味はキャンプとブログ

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